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快適な眠りのメカニズムを知ろう!
はじめに
皆さんは、普段よく眠れていますか?
「良い眠り」を実現するには、そのための「良いリズム」を保つことが必要です。
そして、「良いリズム」を実現するためには、「眠りのメカニズム」を知ることが欠かせません。
今回は、その「眠りのメカニズム」について、分かりやすくお伝えしていきます。
人はなぜ眠るのか
人は、人生の約3分に1を睡眠に費やします。これを、「当然、必要」と思う人もいれば、「もったいない」と思う人もいます。
それでは、そもそも人はなぜ眠るのでしょうか。この疑問については、実はまだ完全には解明されていません。
従来、人は疲れてしまうと、起きている状態を維持するのが難しくなるから眠ってしまうのだ、という考え方が大半でした。しかし、最近の睡眠の研究では、脳の中には積極的に睡眠を促す部位があり、この部位が活発に働くことによって眠りが起きるというのです。
そして、「睡眠を積極的に促す」仕組みには、二つの仕組みがあるといわれています。それは、「睡眠恒常性維持機構」と「体内時計機構」といわれているものです。
「睡眠恒常性維持機構」というのは、脳が疲れた際に脳を回復させるための睡眠の仕組みです。
「体内時計機構」というのは、眠くなったら寝て、一定の時間が経過したのちに目覚めて活動するといったような、一定のリズムを維持する仕組みを指します。
これら二つの仕組みが協調することで、人は自然に眠りにつくといわれています。
つまり、「睡眠恒常性維持機構」によって日頃からの活動で脳が疲れた時に眠気が起き、同時に「体内時計機構」によって睡眠に向かうタイミングが作り出されるのです。こうした二つの仕組みの相互作用で、質の良い睡眠が得られるのです。
現在は「良い眠り」を確保するのが難しい時代
しかし、現在は「睡眠恒常性維持機構」と「体内時計機構」が同じようなタイミングで機能しないことが起きやすいといえます。なぜなら、昔と比較して時間の使い方が多様で複雑になってきているためです。
たとえば、深夜勤の後に昼間睡眠をとる、時差地域に到着した際に現地が夜であれば睡眠をとる、といったことが頻繁に起こるのが現在です。
夜勤のあと昼間に睡眠をとる時というのは、もちろん眠気があるためです。
つまり、「脳」としては疲れた状態であるため、「睡眠恒常性維持機構」が働き、強い眠気が存在します。しかし体の方はというと、昼間ということもあり「活動モード」になっています。
そうなると、「脳としては休みたいのに体としてはそうでもない」ということになります。こうした場合、眠りとしては安定しません。そのため、睡眠をとった後でも、疲労が回復したという感覚がなかなか得られにくくなってしまうのです。
このように、現在は「良い眠り」を確保するのが難しい時代だといえるでしょう。
だからこそ、眠りについての知識を十分にし、工夫することで「良い眠り」につなげていくことが必要です。
眠りの全体構造
さて、ここからは徐々に眠りの仕組みについてお伝えしていきましょう。
これから、頭の中に折れ線グラフのようなものを想像してみてください。縦軸が「眠りの深さ」で、横軸が「時間」です。縦軸は、眠りが浅くなると上の方に、深くなると下の方に行くとしましょう。人は眠っている間に眠りが浅くなったり深くなったりします。つまり、先程頭の中に描いていただいた折れ線グラフで考えると、線は時間の経過とともに上下することになります。
そして、この上下動には、一定の周期があります。つまり、眠りの深さが上下動を繰り返すのです。睡眠には、大別して「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があります。
一回の睡眠でこの二つの睡眠を繰り返していきますが、一つのサイクルが回る、すなわち上下動を一回形成するのに約90分かかるといわれています。
全体構造としては、このようになっているということを押さえておきましょう。
レム睡眠とは
眼球の動きがみられる睡眠の時間帯を「レム睡眠」といいます。
実は、レム睡眠は間だけではなく犬や猫にもあります。犬や猫が横向きになってだらりとした様子で眠っていることがあります。このように眠っているとき、実は犬や猫のまぶたはぴくぴくと動いているのです。この状態がレム睡眠です。
なぜこういう睡眠があるのかということですが、一つには、自己の生存を維持するためにあるのではないかということです。眠っている間に自分が食べられないようにするには、もし天敵が襲ってきたとしても本能的に逃げられるようにしなければいけません。
そのためには、脳がアクティブな状態を維持させなければならないのです。その意味において、レム睡眠は脳ではなく身体を休める眠りともいえるでしょう。
ノンレム睡眠とは
「ノンレム睡眠」の場合は、眼球の動きが見られません。
レム睡眠の時とは違って、うずくまるようにまとまって、行儀の良い感じで犬や猫が眠っている時間帯があります。こうした時にはまぶたの動きは見られず、ぐっすり、すやすや眠っています。
これは、ノンレム睡眠によって「脳を休めるための眠り」となっているからです。ノンレム睡眠の間というのは、知覚や思考などといった脳の活動が弱まるところがレム睡眠とは違います。
また、ノンレム睡眠には、四つの段階があります。
「段階1」の時は物音がすればさっと目が覚める程度、「段階2」は聞こえてきた情報をキャッチすることができる程度に眠っている状態です。「段階3、4」になると身体も脳も休んでいる状態で、徐波睡眠や深睡眠期と呼ばれることがあります。
この状態になると、身体を揺さぶったり大声で起こしたりしなければ、起こすことはできません。
ちなみに、人間は「段階3、4」のノンレム睡眠の時間は、他の動物よりも長いといわれています。それは、人間の脳の活動は他の動物に比べ多岐に渡る分、大量のエネルギーを必要とするのと同時に、休息時間を取らないと活動を維持できないためです。
レム睡眠とノンレム睡眠はどのように繰り返されるのか
眠りにつくと、まずは、浅いノンレム睡眠に入ります。
時間が経過するにしたがって、眠りが段々と深くなっていきます。ノンレム睡眠の段階が上がっていくのです。そして、一番深い深いノンレム睡眠状態がしばらく続きます。折れ線グラフにしたがって考えれば、時間の経過に伴って折れ線はどんどんと下の方に移動し、一番深くなったところで横軸と並行になってしばらく続くわけです。
その後、ノンレム睡眠状態は段階的に浅くなり、やがてレム睡眠へと移っていくのです。折れ線グラフでいえば、だんだんと上の方に移動していく形となります。
入眠後ノンレム睡眠になって、それから最初のレム睡眠が現れるまでの時間はおよそ90分です。その後も、ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルは70~110分ぐらいの時間をかけて繰り返されます。眠ったばかりのころはノンレム睡眠が多くあらわれますが、サイクルが繰り返されるにしたがってレム睡眠の割合が多くなります。
折れ線グラフでいえば、上下動を繰り返しながらも、時間の経過とともに全体としては上の方に移動していくような傾向となります。以上が、眠りに関する基本的なメカニズムとなります。
眠りにまつわるマメ知識
ここからは、眠りに関連する事項を取り上げ、今までご紹介してきた内容との関連性をご説明します。
眠りに関する理解をより一層深めていただければと思います。
・昼寝
眠りに関連することとして真っ先に思い浮かぶことの一つとしては、昼寝が挙げられるでしょう。そもそも、昼寝とはレム睡眠なのでしょうか。ノンレム睡眠なのでしょうか。
ノンレム睡眠からレム睡眠に移行するまでの一連のサイクルは約90分です。そして、その中でも、深いノンレム睡眠に入るまでには約30分かかります。
深いノンレム睡眠に入ってしまうと、多少の物音では起きなくなってしまいます。別の言い方をすれば、この状態から起きようとすると、それはかなり不快なものといえるでしょう。
さらに、一連のサイクルが回っていないこともあり、体の疲れが取れない感覚が残ることもあるでしょう。
それでは、これらのことを避けるにはどうしたらよいのでしょうか。
それは、昼寝時間を浅いノンレム睡眠の枠にとどめておく、すなわち、15分から20分程度に昼寝の時間を留めておくようにするほうが良いでしょう。
また、「昼寝をする時間帯」ですが、昼寝をするのであれば15時よりも前にすることをおすすめします。というのも、15時以降に昼寝の時間を取ったりすると、夜の睡眠に悪影響をもたらす可能性があるからです。
・90分サイクル
先程より、ノンレム睡眠とレム睡眠は90分周期で繰り返すと重ねて説明してきました。そうすると、「睡眠時間を90分単位で考えた方がよいのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれません。つまり、5時間で起きるというよりは、4.5時間にした方がよいのではないかということです。
しかし、これはあまり気にし過ぎる必要はありません。実際に、日によって眠りに入る時間も変わることもあるでしょう。例えば、昼間にとてもイヤなことがあったりしたときは、なかなか寝付けないものです。
また、90分サイクルというのはあくまでも目安であり、これより長い人もいれば短い人もいるわけです。こうした時間に囚われすぎて、かえってストレスになってしまうことの方が問題です。90分というのは、大体の目安として捉えておくのがよいでしょう。
・睡眠は貯金できるのか
いわゆる「寝貯めはできるのか」ということですが、これはできません。
しかし、日頃の睡眠不足を休日に取り戻すということは可能です。
仕事の忙しい方などは、一週間の中で周期的に睡眠を取り戻すようなサイクルを考えると、疲れを溜めにくくすることができるのではないでしょうか。
・夢の関係性
夢を見るのは、レム睡眠時でしょうか。それとも、ノンレム睡眠時でしょうか。
実は、どちらの睡眠の時にも夢を見ています。
レム睡眠時の夢というのは、起きた時に思い出せるものが多いようです。内容としてもストーリー性があることが多いです。一方、ノンレム睡眠時の夢は、起きた時に思い出せないことが多いです。また、内容の方も平凡なものが多いようです。
睡眠の活用法
ここでは、睡眠学習を取り上げていきます。
昔から聞く「睡眠学習」ですが、実際のところはどうなのでしょうか。
レム睡眠、ノンレム睡眠も関連づけながら、ご紹介していきます。
・記憶の方法と、レム睡眠・ノンレム睡眠
まず、「記憶の方法」について触れていきます。
記憶の方法としては、「身体が覚えるタイプの記憶」と「知識として覚えるタイプの記憶」の二種類があります。
身体で覚える記憶というのは、言葉では表しがたいことを記憶するということです。
例えば、スポーツの技や楽器演奏のテクニックなどがこれにあたります。これらの記憶はレム睡眠時に記憶されます。睡眠不足になると、ノンレム睡眠が優先されます。そうなるとレム睡眠の時間が少なくなることから、これら非言語系の記憶が定着しづらくなってしまいます。スポーツや楽器演奏が上手くなりたい人は、睡眠もしっかりとることが必要かもしれません。
一方、数学や英語等の勉強したことや人から言われたこと、見聞きしたことなどの言語化して記憶するものは、ノンレム睡眠の際に言語と視覚が結びついて定着します。
・睡眠学習に向いているもの
以上のようなことを踏まえると、勉強系のことは皆、睡眠学習に向いているようにも思えます。しかし、睡眠学習をするのであれば、まず睡眠しなければいけません。そのことも考え合わせるのであれば、内容が込み入っていて思考を要するようなものは控えた方がよいでしょう。また、聞き流して覚えるような勉強の仕方をするものも避けた方がよいでしょう。どちらも、眠れなくなってしまうからです。
それではどうするかということですが、「単純なもの」「寝る前15分くらいで完結するようなもの」であれば、寝た後に記憶に定着することが期待できます。
そうすると、睡眠学習には英単語などの暗記をメインとする科目がオススメといえるでしょう。
まとめ
眠りについて、基本的なことをお伝えしてきました。
良い眠りには、レム睡眠もノンレム睡眠も必要であり、それらを保つための生活リズムを整えるということも必要です。
また、良い眠りのリズムを保つためには、寝具などの睡眠環境を整えることも大切です。布団や枕など、眠りに欠かせない寝具について、的確なアドバイスをもらえるようなお店で揃えたいものです。今回ご紹介したことを参考に、快適な睡眠生活を実現していただければと思います。