株式会社ホンダ

睡眠時間が長い?過眠のメカニズムと家具選び

睡眠時間が長い?過眠のメカニズムと家具選び

睡眠は、心身の疲れをとるのに必須の行為です。でも、現代人は思うように睡眠時間を確保できません。日頃の睡眠時間不足を取り返そうと、寝だめをしたり、体力がつきてバッタリと倒れるように眠りに落ちたりすると、寝すぎてしまう恐れがあります。実は、寝すぎは睡眠不足以上に脳に悪影響を与えかねません。過眠のメカニズムと、寝すぎないための家具選びについて紹介しましょう。

寝すぎが脳にもたらす悪影響とは

いくら寝ても寝足りないと感じるときに思い切り寝るのが一番と寝だめするのは、心身の疲れを回復するために有効なのでしょうか。実は、一度に寝すぎると、脳によくない影響があるのです。どのような悪影響があるのか、見ていきましょう。

◇ノンレム睡眠とレム睡眠のバランス
人は、眠りにつくと、ノンレム睡眠とレム睡眠という2種類の性質の異なる睡眠を繰り返します。ノンレム睡眠は脳を含めた全身が深い眠りに入った状態で、レム睡眠は体が休んでいても脳は活発に動いている状態です。正常であれば、眠りにつくとノンレム睡眠が始まり、次いでレム睡眠、ノンレム睡眠と繰り返します。
ところが、睡眠時間が乱れると、ノンレム睡眠よりレム睡眠が目立ってしまいます。起きているとき以上に脳が活発に機能しているレム睡眠ばかり増えるのでは、脳が休めずに疲労がたまってしまうのです。

◇寝すぎによる血流低下
寝すぎて起きると、ズキンとくる頭痛に見舞われることもあります。これは、交感神経と副交感神経のスイッチが上手く切り替わらなくなっている可能性大です。寝すぎると、副交感神経が優位に立った状態が長くなるのですが、副交感神経は血管を拡張する効果があり、脳内の血流量が増加します。ゆえに、片頭痛のような頭の痛みが起こりやすくなるのです。
一方、体のほうでは、血流が悪くなるといった問題が発生します。長時間、横になって寝ていることにより、血流が低下して十分な酸素と栄養が行き届かなくなる恐れがあります。

◇寝すぎると脳の働きが悪くなる?
国内外の研究機関でも、睡眠時間と脳の関係について盛んに研究が行われています。たとえば、英国の大学では、睡眠時間が6時間未満の人と8時間以上の人が記憶力と意思決定能力の低下を示しているという研究結果を発表しました。これは、7時間睡眠の人との比較です。
英国の別の大学でも、睡眠時間は長すぎても短すぎても脳の働きを低下させるとの研究結果を発表しています。寝すぎたことが影響し、大脳が実年齢の7歳以上老けるという調査結果も見逃せません。記憶力や語彙力のテストにおいて、睡眠時間が6時間未満と8時間以上のグループでは、7時間睡眠のグループの結果に及ばない結果が出たのです。
日本国内でも、京都において同様の調査結果を出しています。全国学力テストの結果において、睡眠時間が6時間未満と9時間以上の小学6年生、睡眠時間が8時間以上の中学3年生が低い正答率を示したというのです。こうした調査結果は、寝不足はもちろん、寝すぎも脳の機能を低下させてしまう証拠と言えるでしょう。

思った以上に寝すぎてしまうのはなぜ?

ついつい寝すぎてしまうのには、いくつかの理由が考えられます。生活習慣が原因、体質が原因、病気が原因と、大きく分けると3種類が考えられるようです。どうしても寝すぎてしまうという方は、どのケースに当たるか照らし合わせてみてください。

◇浅い眠りを繰り返している
人は、年齢によっても睡眠の質が変わってきます。一般的には、加齢と共に眠りが浅くなり、40代頃から深く眠りにくくなってくるのです。それに伴い、疲れが回復しにくくなるため、長く眠りたくなってきます。ダラダラといつまでも寝ていたくなるのには、こうした理由もあるのです。
本来なら眠り始めの約3時間に現れるノンレム睡眠は、途中で目覚める回数が増えると眠りが浅くなってきているかもしれません。加齢の影響に加えて考えられるのは、生活習慣の乱れです。たとえば、寝る前にカフェインが含まれた飲み物を飲みすぎる、寝酒、深夜の食事や運動、寝る前の考え事なども、眠りの質を悪くしてしまう生活習慣と言います。これらを改善するだけでも、睡眠のサイクルを正常に戻せるかもしれません。

◇ロングスリーパーの体質である
NHKが2015年10月に調査したところ、日本人の平均睡眠時間は平日が7時間15分、土曜は7時間42分、日曜は8時間3分という結果が出ました。もちろん、生活習慣などの問題により、もっと睡眠時間が短かったり長かったりするケースがあるのですが、飛び抜けて睡眠時間が長い体質の人もいます。ロングスリーパーと呼ばれる体質の人です。
ロングスリーパーは、毎日9時間以上寝ないと寝た気がしないという体質で、全人口の5~10%も存在します。ロングスリーパーは遺伝で、子供の頃から寝すぎる傾向がある場合はロングスリーパーの可能性があります。根本的には変更不可能な体質ですが、慎重に判断するべき問題とも言えるでしょう。

◇過眠症の可能性
過眠症という睡眠障害の一種で、眠りすぎてしまう人もいます。ロングスリーパーとの違いは、夜に十分寝ているにもかかわらず、昼間にも強い眠気を感じる点です。眠気を感じるだけでなく、実際に気付いたら寝ていたということも多いのが過眠症の特徴と言えます。
過眠症には、大きく分けて3種類あります。ナルコレプシーは、昼日中にも強烈な眠気にたびたび襲われ、どこでも眠ってしまう病気です。短時間ほどの眠気ながら、繰り返し眠らずにいられないのが困ります。同じく昼間異常な眠気に襲われるのが特発性過眠症です。ナルコレプシーと違う点は、眠ってしまう時間が1時間以上に及ぶことと考えられます。自律神経のバランスが乱れ、頭痛やたちくらみが起こりやすくなるのも特徴です。
3つの過眠症の中でも珍しいのは、反復性過眠症でしょう。突然、18~20時間ほども続けて眠ってしまう症状が発生しますが、その頻度は少ないのが特徴です。

睡眠の質を高くする家具を選ぶには

病気の場合は医療機関で相談することが大切ですが、いずれにしても眠りの質を高めることは健康的な生活の基本です。そのために、ベッドルームの家具にこだわるのは効果的と言えます。よりよい眠りをもたらしてくれる家具選びでは、どのような点に注意すればよいものでしょうか。

◇ベッドとマットレスへのこだわり
トップアスリートのような健康にこだわる人をはじめ、ビジネスマンとして活躍する人も寝具にこだわっています。生きていくうえでは体が資本です。元気に働く体を維持するためには、眠りの質を向上させて日々の疲れを早く回復する必要があります。
トップアスリートやトップビジネスマンならずとも、現代人はストレス過多な傾向にあるでしょう。少しでもストレスを解消するために、眠りの質を高めることが役立ちます。大切なのは、体に合ったベッドやマットレスで眠ることです。これにより、ストレスホルモンが減少します。

ベッドもマットレスも、市場には多彩な種類がそろっています。個々の体格や体重、骨盤の位置に合わせたうえで、副交感神経を優位にさせてくれるような品を選ぶことが大切です。でも、誰もが専門家のアドバイスを受けながら寝具選びができるとは限りません。そこでおすすめしたいのが、天候不順な日や体調が悪いときに寝具を選びに行くことです。
一日のうちでいえば、夕方などは自律神経が乱れ気味になり、疲れが出ています。実際にベッドやマットレスに横になってみて、体重をしっかり支えて体圧を分散してくれる、思わずそのまま寝てしまいそうになる品を選べばOKです。

◇シンプルなインテリアで眠りを誘う
より快適な眠りを実現するには、ベッドルームのインテリアはシンプルなほどよいでしょう。精神的に高揚してしまうようなカラーを使ったりアートを飾ったりすると、どうしても交感神経が高ぶりがちです。
究極的にはベッドと照明だけでもよいくらいですが、他に家具を置くとしたらサイドテーブルを備える程度がよいでしょう。副交感神経を優位にうながす香りとして、かんきつ系が効果的とのデータもあることから、アロマを楽しむインテリア雑貨を用意するだけでも効果的です。テレビは別室に置くことをおすすめします。

◇必要最低限なものを置けるサイドテーブル
小型の間接照明やアロマ雑貨、目覚まし時計などをベッドまわりに置いておくためには、サイドテーブルが便利です。ベッドから楽に手が届く範囲に置けるものを選びたいところですが、アロマキャンドルを灯す場合などは火元に十分注意してください。

まとめ

寝だめをすると、つい寝すぎてしまうという方は、これを機に日常的な睡眠時間の改善努力をすることをおすすめします。気持ちよく眠れるお部屋にしてくれる家具を探すことで、質のよい眠りに積極的になってみませんか?

一覧へ戻る